ディープダイビング・アリス(全2本)
「不思議の国のアリス」に隠された秘宝を探す旅へ!
今から150年以上も前にイギリスの数学者ルイス・キャロルによって書かれた「不思議の国のアリス」。皆さんも一度はそのタイトルを聞いたことがあるでしょう。
「不思議の国のアリス」は、発表後、世界中で愛されるようになりました。アリスの話は何度も映画化され、数々のクリエイターのみならず、現代哲学にまで影響を与え、インスピレーションの源泉となっていきました。さらに、このアリス現象は、ビジネスとしても各種のグッズや商業空間のコンセプトになるなど、作品をはるかに超えたはかり知れない展開を見せています。
誰が、150年前に自費筆で書かれた小さな書物がこのような拡がりを見せると想像し得たでしょうか?まさに「不思議の国のアリス」は、人類史上において稀有で奇跡の書物の一つといっても過言ではないでしょう。このアリスの物語には、隠された秘密の宝物が一杯詰まっています。
ここでは「不思議の国のアリス~叡智の迷宮へようこそ~」から、日本を代表する知性2名の講師による斬新にしてスリリングなアリス論をお届けいたします。
ここでは「不思議の国のアリス~叡智の迷宮へようこそ~」から、日本を代表する知性2名の講師による斬新にしてスリリングなアリス論をお届けいたします。
◆高山宏「アリスに驚け!」
“学魔”という異名をとるほど博覧強記の高山宏氏が、「不思議の国のアリス」やルイス・キャロルの特徴や魅力について、縦横無尽に解説します。高山氏は、物語の冒頭シーン、退屈したアリスがウサギを追って穴に落ちるまでの記述を扱いますが、一つ一つのフレーズに、奥深い歴史的背景が広がっていることがわかるでしょう。高山氏の膨大な知性と直観は、精神分析に始まり資本論、博物学、魔術と奇術、時間論、数学、数秘術、地質学、果ては世界初のロンドンの地下鉄に至るまで、アリスとルイス・キャロルを巡る考察は、留まるところを知りません。この稀有な物語に対する認識を飛躍的に深めます。(映像:111分)
アリスに驚け!アリスを超深読み
アリスに驚け!アリスを超深読み
<プロフィール>
1947年岩手県生れ。翻訳家。その博覧強記ぶりは「学魔」と評され独自の表象文化論を構築した。東大文学部英文科卒。東京都立大学教授、首都大学教授、明治大学教授、大妻女子大学教授、その後、大妻女子大学副学長を経て現在に至る。『アレハンドリア アリス狩りⅤ』等著書多数、『アルチンボルド』(ジャンカルロ・マイオリーノ)、キャロル『鏡の国のアリス』佐々木マキ・絵、高山宏・訳(亜紀書房)、マガイアー『ボーリンゲン』(白水社)、スウィフト「ガリヴァー旅行記」(研究社)等訳書多数。
◆四方田犬彦「かわいいアリス、かわいくないアリス」
日本を代表する比較文化論者で映画史家の四方田犬彦氏が、「不思議の国のアリス」という作品が芸術や哲学の分野において後年どのように読み直され、近現代の文化人の世界観にどのような影響を及ぼしたかについて解説。アリスは、決して今日で言う「カワイイ」キャラクターではないという視点からはじまり、同時代にこのアリスの話に言及した三人の人物による、それまでの常識を覆す、全く新しい視点からの発信を紹介。そうして生まれた潮流は今日に至るまで、精神世界や哲学に影響を与え続けているのです。さらに、四方田氏所有の芥川龍之介による訳本を提示し、この作品が示す圧倒的存在感とその魅力の秘密を探ります。(映像:74分)
1967年に起こったアリス現象とは?
1967年に起こったアリス現象とは?
<プロフィール>
1953年大阪府箕面に生まれ。東京大学で宗教学を、同大学院で比較文学を学ぶ。明治学院大学教授として映画学を講じ、コロンビア大学、ボローニャ大学、清華大学、中央大学(ソウル)などで客員教授・客員研究員を歴任。現在は映画、文学、漫画、演劇、料理と、幅広い文化現象をめぐり、著述に専念。学問的著作から身辺雑記をめぐるエッセイまでを執筆。『月島物語』で斎藤緑雨文学賞、『映画史への招待』でサントリー学芸賞、『モロッコ流謫』で伊藤整文学賞、『ルイス・ブニュエル』で芸術選奨文部科学大臣賞を、『詩の約束』で鮎川信夫賞を受賞。近刊に『映画の領分』『愚行の賦』。2022年に『パゾリーニ』を刊行。
価格:2,000円(税込)